[時事英語] ナナメ読み 中国の気球、アメリカで撃墜される

昨日今日と、

中国の気球 (spy balloon)による
アメリカの “偵察”について
報じられています。

今日はそのニュースを
ナナメ読みしていきます。


英文をご紹介する前に、予備知識として、日本語のニュースを転載します。
(不要な方は飛ばしてください)

中国の気球が、アメリカ本土の上空を飛行していることが明らかになったことを受けて、アメリカのブリンケン国務長官は中国側に対し、「明確な主権の侵害だ」としたうえで、日本時間の4日に出発する予定だった中国への訪問を延期すると伝えました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230204/k10013970431000.html

アメリカ国防総省は、アメリカ本土の上空を飛行してきた中国の気球を、南部サウスカロライナ州の沖合でアメリカ軍の戦闘機が撃墜したと発表しました。海に落下した気球の残骸の回収作業が進められています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230205/k10013971121000.html

(いずれもNHKニュースより)

気球 = spy balloon

ニュースでご覧になった方も
多いと思いますが、

 中国:気象観測用だ

 アメリカ:なに言っとんねん


となっていますね ^ ^;

欧米メディアも、
単なる「気球 = balloon 」ではなく、

「spy balloon」と呼んでいます。


では、本文を見ていきたいと思います。

政治がからむ話だと、
いっきに読みにくく
感じる方が多いので、

短めのセンテンスで
お送りします。

(最後に上級者向けの
 長めの文を載せます)

中国の主張

中国は、

spy balloonが
中国のものと認めた上で、

「気象などの科学研究に使用されているものだ」とする声明を発表。

その部分がこちらです。


China referred to the airship (=balloon) as a civilian device “used for scientific research such as meteorology.”


単語がわかれば
意味が取れると思います。

■ refer to~:言及する

■ airship:飛行船

■ civilian :民間の(軍事用ではない意味を含む)

■ meteorology:気象学


もういちど
読んでみましょう。

China referred to the airship (=balloon) as a civilian device “used for scientific research such as meteorology.”


「気象などの科学研究に使用されている」は、後半の

used for scientific research
such as meteorology

この部分ですね。

ブリンケン国務長官、中国訪問を延期

次の文は、アメリカの
ブリンケン国務長官が
主語です。

 →Secretary of State Antony Blinken


Secretary of State Antony Blinken had been expected to travel to China this weekend for a diplomatic trip, but his trip was postponed.

この文は、

一瞬長く感じるかも
しれませんが、

動作、目的が読めれば

すんなり意味が通るでしょう。


travel to China
 (中国に行く)

for a diplomatic trip
 (for で目的を表す)

was postponed
 (延期された)


TOEICであまり見かけないのは
この単語かと思います。

■ diplomatic: 外交の


ニュースでは頻出なので、
英語ニュースを読みたい方は

しっかり押さえておきましょう。


以上を踏まえてもう一度、
一文を確認してみてください。


Secretary of State Antony Blinken had been expected to travel to China this weekend for a diplomatic trip, but his trip was postponed.

結果として、撃墜

4日の時点では、
気球を撃ち落とす案はすでにあったものの

民間人への被害を考慮して、
見合わせていました。


撃ち落としたら、
民間人に被害が出るから、
という理由です。

ですが日本時間の今日未明に

このニュースが入りました。


U.S. fighter jet shoots down suspected Chinese spy balloon

→アメリカの戦闘機が、
 気球を撃墜。

記事本文によると、

A U.S. military fighter jet shot down a suspected Chinese spy balloon off the coast of South Carolina on Saturday, a week after it first entered U.S. airspace.

off the coast of South Carolina
サウスカロライナ沖、なので、

海の上に出た気球を
撃ち落としたことがわかります。


a week after it first entered U.S. airspace.


アメリカ領空に入ってから
1週間ということですから、

アメリカ政府としては
かなり”待たされた感”が
あったかもしれません。

最後に、上級者向けです

以下、上級者には
読み取っていただきたい内容です。

1センテンスですが、長いです。


President Joe Biden said he had issued an order on Wednesday to take down the balloon, but the Pentagon had recommended waiting until it could be done over open water to safeguard civilians from debris crashing to Earth from thousands of feet (meters) above commercial air traffic.


Pentagonは、言わずもがなとは思いますが、
アメリカの国防総省のことです。

(大文字に注目
 ↑ただの”五角形”ではありません)


この文のはじめの
S+Vから確認すると、

President Joe Biden said he had issued an order on Wednesday to take down the balloon,

バイデン大統領は、
水曜日に気球を “take down”するよう命じました。


が、(続き)

but the Pentagon had recommended waiting until it could be done over open water


国防総省は
open water 上ですべき、
と判断し保留になりました。


open water とは
広い水域(人がいない海など)のことです。


保留にした理由は、

to safeguard civilians from debris

撃った際に散らばる破片から
民間人を守るためですね。


続いて、

from thousands of feet (meters) above commercial air traffic.

かなり高い上空から
破片が落ちてきたら、
被害は大きいでしょう。

地上の人々はもちろん、

ふつうの飛行機(旅客機・貨物機)も
破片を受ける可能性を考えると、
“open waterで” が、妥当なのでしょう。

(自宅の上空で撃墜されることを想像すると怖い)


ということで、ささっと解説しましたが、いかがでしたか?

原文を読みたい方は、
以下のリンクでご確認ください。


【CBS NEWS】
Biden says U.S. will “take care of” suspected Chinese spy balloon

https://www.cbsnews.com/news/chinese-spy-balloon-montana-flight-tracking/


【REUTERS】
U.S. fighter jet shoots down suspected Chinese spy balloon

https://www.reuters.com/world/us/biden-says-us-is-going-take-care-of-chinese-balloon-2023-02-04/




それでは、素敵な日曜日を ^ ^