WHO:変異ウイルスにギリシャ文字をあてると発表
WHO(世界保健機関)は、
一般的な呼称としてギリシャ文字をあてると発表した。
ということで、
Natureの記事を読みました。
(2021年6月1日付)
タイトルは、
Coronavirus variants get Greek names — but will scientists use them?
variant は、変異株のことです。
それに、Greek nameがついた、、、しかし本当に使われるのか?
ということですね。
なぜこの発想 (=ギリシャ文字) に至ったのか
サブタイトルに、
“From Alpha to Omega, the labelling system aims to avoid confusion and stigmatization.”
目的は、混乱と悪評につながるような事を避けるため。
(avoid confusion and stigmatization)
とあります。
インド株とか、イギリス株とか・・・
国名とウィルスを結びつけたら、やはりその国や、国の人に、プラスの印象は持たれません。
stigmatizationを避けよう!という意図はよくわかりますよね。
confusionについては、
たとえば一口に、南アフリカ株でもいくつも呼び名があって、
わけがわからない、ということなんですね。
記事を読み進めていくと、
When researchers in South Africa spotted a highly mutated strain of coronavirus driving the country’s second wave in late 2020, they called it variant 501Y.V2.
2020後半に南アフリカで発見された変異株は、
501Y.V2 と命名されました。
Naming schemes developed by other scientists have called it B.1.351, 20H/501Y.V2 and GH/501Y.V2.
同時に、B.1.351、20H/501Y.V2、GH/501Y.V.2とよぶ人たちもいるわけです。
そりゃあややこしいわ・・・
(COVID-19の呼称を定めたときも感じましたが、
意外と、こうした呼び方は世界で統一されていないようです。)
で、もちろん、ご存知の通り、メディアでは
「南アフリカ株 / South African Variant」と報道していますよね。
一般の人に、
501Y.V2. B.1.351 20H/501Y.V2 GH/501Y.V2
こんな専門的な呼び方はわかりにくいでしょうから、
わかりやすく南アで生まれた株と伝えたいのも、容易に推測できます。
このconfusion、stigmatizationを克服するために、
ギリシャ文字をあてて、みんながわかりやすいようにしよう、ということです。
一覧:VARIANTS OF CONCERN
こちらがその一覧、”VARIANTS OF CONCERN” です。
WHO labelに、
アルファ、ベータ、ガンマ・・・とあるのが、新しいGreek namesです。
Source: WHO
“Beta” が、南アフリカ株ですね。
↓(拡大)
あくまで一般むけ
The names, taken from the Greek alphabet (see ‘Variants of concern’), are not intended to replace scientific labels, but will serve as a handy shorthand for policymakers, the public and other non-experts who are increasingly losing track of different variant names.
これはあくまで、専門家以外の人でも使いやすいよう付けるので、
研究や医療の各領域では、従来通りの呼び名を使えば良い。
そこは、WHOの配慮ですね。
(専門用語が急に変わったら、現場の人はたまったものではないですしね。)
こんな事情を理解すると、つぎの引用はわかりやすいでしょう。
“It is a lot easier for a radio newsreader to say ‘Delta’ than bee-one-six-one-seven-two,” says Jeffrey Barrett, a statistical geneticist leading SARS-CoV-2-sequencing efforts at the Wellcome Sanger Institute in Hinxton, UK. “So I’m willing to give it a try to help it take off.”
変異株が多い国ほど、役に立つ
いまや国境を越えて変異株の感染が広がっています。
The system could be especially useful in countries battling a number of variants, such as South Africa, where a variant found in the United Kingdom and known to scientists as B.1.1.7 — now called Alpha — is on the rise,
たとえば、南アでは、いわゆる「イギリス株(アルファ)」の感染例もあり、「変異株」だからといって、全部が全部「南アフリカ株」とは呼べないですよね。
日本でも海外からの変異株が発見されていますし、これから各所で新しい変異株が見つかる可能性もあります。
そうした将来の可能性も見据えて、こうした呼び名を思いついたものと、推測されます。
今後定着するのか・・・?
“The reason we use country names (which is problematic) is that it ties the variants to the story of the pandemic in a way that’s easier to remember,” he wrote in an e-mail to Nature. “The new system is still very anonymous and it will still be hard for the public to remember who’s who.”
国名を使えばわかりやすい。
あたらしい命名方法だとどの変異株かは覚えにくく、一般には浸透しにくいかもしれない。
ごもっとも・・・
アルファ、ベータ、ガンマ なんて、
なんの特徴もないですもんね。
でも、confusionとstigmatizationを避ける目的を考えると、合理的なことは確か。
この記事の〆めの一言。
“If people use it, it will become the default.”
わかば
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